多くの人にとって、AI に触れる最初の一歩は、チャット画面を開いて質問をしたり、考えを話したり、文章を書くのを手伝ってもらったりすることです。直感的に使える一方で、AI を「質問に答えるのが得意なチャットボット」と捉えやすくもなります。しかし、仕事でどう使えるかを考え始めると、チャット画面は入口の一つであり、その先には情報の整理、判断の補助、業務フローの連携など、さまざまな可能性があることに気づきます。
たとえば、お客様の意見を整理する場面を考えてみましょう。AI に「顧客満足度を高めるにはどうすればよいか」と直接聞いて、提案をもらうこともできます。また、データがその用途に使ってよいものかを確認したうえで、集まった意見の分類や、繰り返し出てくる問題の抽出を手伝ってもらい、人が結果を確認して次の対応を決めることもできます。さらに、適切なツールやシステムと組み合わせれば、こうした手順を定型的な業務フローに組み込み、毎回何もないチャット画面から始めずに済むようにもできます。この段階で AI の価値を考える基準となるのは、仕事の一部分が本当に改善されたかどうかです。
ただし、AI にできることが多くても、まず自分たちに何が必要なのかを明らかにする必要があります。決まった項目の数値を合計するだけなら、表計算ソフトの数式で十分かもしれません。一方、さまざまな表現で書かれた文章の整理には、AI が役立つかどうかを検討する価値があります。初めて試すときは、範囲が明確で結果を確認しやすい小さな作業を選び、AI を使う前後で比べてみるとよいでしょう。時間は短くなったか。重要な情報が抜けていないか。確認や修正にかかる時間も含めて、全体として本当に楽になったか。こうした問いは、ツールがいくつの機能を見せてくれるかよりも、使い続ける価値があるかを判断する助けになります。
これが、私が AI 活用講座で伝えたい視点です。身近な仕事を出発点に、問いを立て、手順を分解する練習をしながら、適切なツールと人の役割分担を考えていく。AI との対話を覚えた先にも、探ってみる価値のある実践方法は数多くあります。ご自身の仕事やチームでどこから始められるかを考えたい方は、AI 活用の勉強会や社内研修について、ぜひお問い合わせください。今いちばん改善したいことを一つ持ち寄り、実際の場面をもとに講座で話し合えればと思います。
